13年前。

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『お前のせいだ』 そう言われた気がして、僕はハッと目を覚ました。 辺りに人は居ない。 自分がどのような夢を見ていたのかは思い出せなかったが、どうせ、たいした夢ではないだろうと思い、先程の言葉は気にせず、朝の支度をしていた。 奏音に送ったLINEは既読になっていなかった。 まだ寝ているのだろう、と思い、僕はゆっくりと、支度を進める。 10時58分。 支度を終わらせ、LINEを確認するがまだ既読になっていなかった。 今日は日曜日。 僕は早く奏音と会いたかったので、奏音を起こすためにLINEで電話をかけた。 愉快な音楽が1分ほど流れ、通話が切れる。 LINEには、『不在着信』の文字が、なんだか生々しく描写されていた。 おかしいな。 いつもなら電話をかければ起きるのに。 そう思い、もう一度電話をかける。 何度も何度も、電話をかけたが、応答が無い。 きっと、充電が切れてしまっているんだ。 そう思い、自分を無理やり納得させる。 だけど、数時間経っても、昼をすぎても、夕日が昇ってきても、折り返し電話は来なかった。 LINEの既読すら付いていなかった。 僕はやっと、自体の深刻さに気づく。 昨日の奏音の言葉を思い出す。 夢で聞こえた気がした、あの言葉を思い出す。 最悪の可能性を想像する。 僕は、家を飛び出した。 雨が降っていた。 傘を取らなければと思い、情けなくもう一度家へ入り、傘を取った。 透明のビニール傘を広げ、僕は走る。 奏音の家へ走る。 普段運動不足の僕は、直ぐに体力が切れてしまい、膝に手を着いてばかりだった。 10分ほどで奏音の家へ着いた。 ごく普通の一軒家。 インターホンを鳴らす。 『はーい』 と、女性の声が聞こえてきた。 奏音のお母さんだ。 僕はその声に対し、 『奏音さん居ますか?』 と敬意を込めて返事をした。 奏音のお母さんは、 『奏音は昨日から友達の家に泊まっているわよ』 と伝えてくれる。 『本当ですか?』 『えぇ。聴かされてないの?』 『あ、はい。連絡もつかなくて』 『おかしいわね。私からも連絡してみるわ』 『ありがとうございます』 そう言うと、インターホンの通話機能は停止した。 最悪の可能性が脳裏に何度も、何度も過る。 『僕のせいだ』 そういい、僕は開いた状態の傘を投げる。 傘は、風に流され少し遠くまで飛び、電柱にぶつかり、道沿いの(みぞ)に落ちてしまった。 そのまま呆気なく右方向へ水と共に流される。 雨に打たれ、絶望する。 天気は、まるで、僕の心を表しているような気がした。
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