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ニュース。
「あ、緊急速報が入りました。えー14年前に消息を絶たれた”東 奏音”さんが、遺体の状態で、石川県南部で発見されました。」
____”奏音”____
僕は、その言葉に強く反応した。
女性アナウンサーが彼女の名前を発すると同時に、スマホを見ていた僕の目は、反射するかのようにテレビに釘付けにされた。
テレビには、女性アナウンサーの顔が映し出されており、例の失踪事件について淡々と喋っている。
女性アナウンサーの横には写真が添付されており、その写真に移る少女は、確かに僕の知る奏音だった。
「13年前、突如として失踪した少女…………」
女性アナウンサーはまるで、他人事のように、台本を読み上げていた。
あぁ、そうか。
奏音は死んでいたんだな。
良かった。
これで僕も、生きる理由が無くなった。
生きなければならない理由が無くなった。
もう、楽になれる。
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