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突然の提案に、まどかちゃんは目を丸くする。
だよね。ビックリするよね。
「この学校にはないみたいだけどね、うちの高校にはあるの。図書委員が『今月のおススメ』とか図書室を利用した人が書いてくれた感想を載せたりとかするの」
もちろん全校生徒が興味を持ってくれているわけじゃない。
だけど図書委員じゃなくても本が好きな子はいて、図書室を頻繁に利用したりとか、こちらも図書室を利用してもらおうと、読みやすそうな本を紹介したりしている。
「まどかちゃんが大好きな本。どんなお話で、どんなところが面白いのか。文字に書いて伝えることならできるんじゃないかな?」
「……で、でもそんなこと、どうやって?」
「大丈夫! 言いだしたのは私だもの。風原高校の図書委員活動として参加させてもらえるよう、先生にお願いするわ」
近所だし、今回の読み聞かせみたいに学校として交流があるんだもの。先生ともそれなりに親しくしているし、交渉の余地ありよ。
「どうかな? まどかちゃん」
いい案だとは思ったけど、無理はさせたくない。
しばらくうつむいていたまどかちゃんが、大好きな本をキュッと胸に抱き寄せた。
「……が、がんばって、みたい」
振り絞った勇気が愛おしくて、まどかちゃんをそっと包み込んだ。
「うん、頑張ろうね」
その言葉に、腕の中で小さく頷いたまどかちゃんが、顔を上げて笑った。
この笑顔が、もっと輝くように。
頑張って『図書室だより』を作ろう。
決意の証のように、チャイムが鳴り響いた。
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