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そうだ、独立しよう。
「わたくしは悲しい」
講堂に、浪々としたかの人の声が響き渡る。
集まった者達は小さく体を震わせていた。確かに自分達は、罪を犯したかもしれない、それでもだ。
「なぜ、このような小さな約束事一つ、貴方たちは守れないのでしょう?そのように、皆さんを育てたつもりも、指導したつもりもありません。貴方たちは、皆を導くべき立場であるはず。その自覚を、何故もっと強く持てないのです?」
かつん、かつん、かつん。
かの人の教鞭が、ゆっくりと教卓を叩く。ここは、彼らを教育するための学校なのだと教えるように。
「……俯いている人、顔を上げなさい。しっかりとわたくしの目を見て、わたくしの話を聞くのです」
「し、しかし……」
「おや、言い訳をするのですか?自分達の罪を、まだ理解できていないと?もっとしっかり、言い聞かせなければわかりませんか?」
「そ、そうではありません!し、しかしもう、これ以上は、お、お許しを……!」
「駄目です。……反省が足らない者を、このまま帰すことなどできません」
そんな、とあちこちから絶望の呻きが上がる。
それでも彼は一切の慈悲を与えるつもりはないようだった。ただ静かな怒りを讃えた瞳で、全員を見回すばかりである。
「本を開きなさい。もう一度、しっかりと教えを聞くのです」
最初からです、と彼は一番強い力で教卓を叩いた。
「これは全て、皆さんのため。皆さんが、相応しい導き手となるための……修行なのです」
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