よくわからない男

2/7
前へ
/65ページ
次へ
「相変わらずこの扉、重てぇ〜!錆びてんじゃね〜の?」 明るい陽気な声を響かせ入ってくる男。 私の最近の悩みの種、二村一真だ。 「…また来たの?」 「勿論。俺、しつこいよ?」 「貴方、暇なの?こんな所にまで来るなんて」 「ん~暇ではないけど、麗ちゃんと喋れるのここしかないし~?他だったら見向きもしてくれないじゃん?俺の事」 「名前で呼ばないで」 「何で?どう呼ぶかは俺の自由〜」 「……はぁ。」 「ため息ついたら幸せ逃げるよぉ~?」 「……」 窓際の近くの椅子に座って本を読む私の前の床、胡座をかいて座り膝に手をつき顎を載せ、私を見上げる男。 「そこ、床に座ると汚れるわよ?せっかくお洒落な服着てるのに」 「ん~?いいのいいの!こっから麗ちゃん見るのが俺の楽しみなんだから!」 日差しが差し込む窓際の近くに座る笑顔の男。ちょうど日の光りがその綺麗な瞳にかかり、キラキラ耀いて見える。 その男の瞳は綺麗すぎて私なんかを映して汚れてほしくないのに。 (貴方は私には、眩しすぎるわ)
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加