一、サバの缶詰め落下事件

16/85
前へ
/387ページ
次へ
 店長はふたりの店員に指示を出して後片づけを命じた。申しわけなく思い、俺も手伝おうかと倒れた机に手を出そうとしたらそっと止められる。 「お客様、ありがとうございます。あとは私共の方で行いますので。どうぞお気になさらず、お買い物をお続けください」  そう言って手に持っていたサバ缶も受け取ってくれる。大島さんは実にいい人だなと、もういちどお礼と共に頭を下げた。かごを手に持ちくるりとふり返ると、もうそこには金髪翠眼の美少年の姿はなかった。  おお、あれは夢だったのだろうか?
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加