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「事の真相とはなんのことだ。魂をみせるといってもどうやって」
メフィストは、あの質問をくり返した。
「きみはどうして飲み込んでしまったんだい?」
「俺がなにを飲み込んだ」
「謎さ」
深く、俺の中へとのぞき込んでくる。
「Kさん。きみは目の前で起きた謎を、見て見ぬふりしたよね。けっして気付かなかったというわけじゃない。気付いて、考え、そして飲み込んだのさ」
「そんなことはないぞ」
と、反論する前に言葉を並べられる。
「缶詰めの山が崩れはじめ。三秒、子どもを守ろうと動きはじめたね。Kさんの年齢から考えるとすこし反応速度がおそいよ。運動不足かもしれないね。三秒、崩落に耐えたね。ニ秒、子どもの安否を確かめてホッとしていたね。五秒、うつむいてからうしろの床をふり向いたね。十ニ秒、途方に暮れていたね。そしてぐるりを見回してから、ようやく片付けをはじめたのさ」
一部始終を語られる。すこしダメ出しがあったような気もしたが、気のせいだろう。
「見ていたんだな? メフィスト」
「まったく。引っかかるのはそこじゃないよと思うんだけどね」
軽快に笑う。
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