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「でもまあね。ボクは人間観察が趣味だから、きみのことをみていたんだよ。だからKさんが五秒、謎を考えて飲み込んだのも知っているのさ。きみは目にしたはずだよ」
口の端がにやりと持ち上がる。美少年はまるで悪魔のように、ゆかいそうな笑みを顔に貼り付けていた。
「走り抜けていった子どもが缶詰めの山にも、机にも触れていなかったことを、ね。どこにも触れていないのに山が崩れはじめた。その瞬間を目にした。だからきみは、ふり返って床を確認していたんだよね?」
言われてずばり、その通りだった。たしかにあのぼうやとすれちがった時。ふり返った先で俺がみたものは、机に触れないよう走り去るぼうやと、勝手に崩れ落ちてくる山と積まれた缶詰めだったのだ。
「Kさんが飲み込んでしまったその謎の真相を、このボクがお見せしようじゃないか。そしてそれを知ったきみが、どんな反応をするのかをこのボクにみせておくれよ」
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