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 翌日から、正敏のいない日常が戻ってきた。  わたしは久し振りに学校の図書館を訪れた。そして、正敏と一緒に本を読んでいた場所に座った。  だけど、わたしの隣で一緒に本を読んでいた正敏は、もういない。  わたしは、鞄から本を取り出して、ページをめくった。しかし、考えるのは正敏のことばかりで、本の内容は全然頭の中に入ってこなかった。  孤独だった。寂しかった。正敏に会いたかった。  今までは、こんなことはなかった。本さえあれば、一人切りでも大丈夫だった。  なのに……  もう、正敏に出会う前の自分に、戻ることは出来なかった。
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