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 おまけに、わたしは昔から自分の想いを言葉にするのが苦手だった。  というか、わたしが発した言葉は、その場の空気を凍らせ、相手を傷つけた。  確かその時も、ある女子の片想いの相手について、ああでもない、こうでもないと、何人かの女子で話し合っていたのだが、 「それは好かれていない、ということなのではないか」  と、わたしが発言したところ、その女子はわたしを見て、顔をヒクヒクと引き攣らせると、ワッと声を上げて泣きだした。  そんなことが、周りの子達との間で、度々繰り返された。  わたしは傷ついたクラスメートの顔を見るにつけ、余り言葉を発しないようになっていった。
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