あいと目覚め

「……引き返す気なんざ、はなからねぇよ」

　呼吸は荒く頬は紅潮したままだが、智尋は玖藍を睨みつける。

「てめぇから離れる気も一切ねぇ」

　起き上がろうとして力が入らず、倒れ込むが、その漆黒の瞳には玖藍が映っている。

「来いよ。俺の中に入ってきてくれよ、玖藍」

　両手を広げて切なげに訴える智尋の姿を見て、玖藍は、智尋の足の間から胸の方へすり寄り、頭を乗せた。
　智尋は胸の中の玖藍を抱きしめる。

　温かく心地良い。

　しばしして玖藍が「……これでいいの？」と上目遣いに尋ねる。
「おまえがそばにいりゃ俺はなんだっていい」
「ふーん……」
「んひゃあ！？」

　急に強く乳首をつねられ、それだけで軽く達してしまう智尋を見て、玖藍はクスクスと笑った。

「お前がこんな状態なのもしばらくしたら治るだろうし、それまで楽しませてもらおうかな」
「治るのか、これ」
「初めて後ろだけで絶頂したときの後遺症らしいから」
「……なんだったんだよ今までのは……」
「別に嘘はついてないんだけどなあ」

　そう言いながら玖藍は身を乗り出し、智尋に口づける。
　そうして彼は治るまで楽しませてもらうという言葉を有言実行したのだった。