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問題集とノート、参考書を見比べていると、不意に部屋扉が叩かれた。
「もうごはんだから。はやく来なさい」
母の声がして、時計を見ると午後七時を指していた。まだ、はやい。
「勉強してるから、無理」
「手続きしたところもあるし、どうせ記念受験なんだし。頑張る必要ないのよ。そんなことしてないで、はやく来なさい。冷めちゃうでしょ」
「わかった。今行く」
そう言われてしまえば、そう返すことしかできない。
記念受験。そう言われても仕方ない。
黒に赤を重ねられているノートのページ。付箋とマーカーだらけの参考書。付箋だらけでボロボロになった問題集。それらが、それを証明しているようだった。
もうあと少しなのに、頑張ることも無駄。自分で言うことは、あってもこうやって言われてしまうと悲しい。悔しい。
顔を視線を上にやると、彼に渡されたパンフレットが目に入る。
これをもらった時、彼と一緒がいいって不純な動機で受験を決めた。
それを見ると、絶対にあきらめたくない。
食べたら再開することを決めて、席を立った。
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