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君はいつも私が家を出る時、寂しそうな声と顔で家を出る私のことを止めていたよね。
いつもお気に入りのおもちゃを持って行って、
遊んで遊んでと言わんばかりに私を止めることもあった。
いつも遅刻しかけるからやめてほしいなって思っているけど、可愛いこの子のためなら仕方ないよね。
私が学校から帰ってきた時はキラキラの笑顔で「おかえり!」っていうように元気いっぱいの姿で出迎えてくれた。
そんなことがいつまでも続くと思っていた。
ある日その子は重い病気にかかってしまった。
どんな治療法でも、助かる可能性はほぼないって先生から言われた。
あの子は必死に病気と闘った。
私もあの子が助かることを必死に願った。
でも、その願いは叶わず、あの子は虹の橋を渡っていってしまった。
あの子は病気と頑張って闘った。
先生もここまで長く生きられたのはすごいと言っていた。
もう、「いってらっしゃい」は聞けないんだと思うとすごく悲しくて、寂しかった。
その子の亡骸を火葬場へと持っていき、骨にしてもらった。
ああ、「いってらっしゃい」を言うのってこんなに辛かったんだ…
「おかえり」って言うのはこんなに嬉しいことだったんだ…
と、改めて実感した。
また、毛皮を変えて私のもとに帰ってきてね。
数年が経って、私は社会人となった。
会社の帰りに何気なくペットショップに寄った。
そうしたら、数年前亡くなったあの子にそっくりの子を見つけた。
見た目も、動きも、性格も…全部「あの子」だった。
その子は私によく懐いた。
店員さんも、『そんなに懐かれるなんてこと滅多にないですよ』と言われた。
これは運命だと思い、私はこの子を飼うことに決めた。
この子は、しっかりと私の約束を守って、また私のもとに来てくれた。
だから私はこの子をあの子と同じようにたくさんの愛情を注ぐことを決めた。
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