ハロウィン前夜

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けれど、リュウガくんは悲しい目をしたまま、 「さよならだ」 と言い、柵から手を……。 「駄目〜!!!」 ヨルくんが叫び、リュウガくんの手を引っ張りました。 スマイルくんと同じ、手のひらサイズのヨルくん。 そんなヨルくんが、今、まさに落ちようとしている人間を引っ張ることなど、できるはずもありません。 けれど、ヨルくんの思いが、チカラをくれたのでしょう。 ヨルくんに引っ張られ、リュウガくんは柵の内側に倒れました。 「…は?おま…ちっちゃいくせに、どんだけチカラあんだよ…」 リュウガくんは当然、驚きを隠せません。 「抹茶ロール、嫌い?」 今にも、泣きそうな顔で、ヨルくんはリュウガくんにそう聞きました。 「…いや、嫌いじゃねぇよ」 「じゃあ、あげるから、食べて?食べながら、僕の話を聞いて欲しいんだ」 「…分かったよ。聞いてやる」 リュウガくんは、ヨルくんから抹茶のロールケーキを受け取ると、ゆっくり食べ始めました。 そして、ヨルくんの考えた、楽しいお話が、始まりました。
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