2人が本棚に入れています
本棚に追加
けれど、リュウガくんは悲しい目をしたまま、
「さよならだ」
と言い、柵から手を……。
「駄目〜!!!」
ヨルくんが叫び、リュウガくんの手を引っ張りました。
スマイルくんと同じ、手のひらサイズのヨルくん。
そんなヨルくんが、今、まさに落ちようとしている人間を引っ張ることなど、できるはずもありません。
けれど、ヨルくんの思いが、チカラをくれたのでしょう。
ヨルくんに引っ張られ、リュウガくんは柵の内側に倒れました。
「…は?おま…ちっちゃいくせに、どんだけチカラあんだよ…」
リュウガくんは当然、驚きを隠せません。
「抹茶ロール、嫌い?」
今にも、泣きそうな顔で、ヨルくんはリュウガくんにそう聞きました。
「…いや、嫌いじゃねぇよ」
「じゃあ、あげるから、食べて?食べながら、僕の話を聞いて欲しいんだ」
「…分かったよ。聞いてやる」
リュウガくんは、ヨルくんから抹茶のロールケーキを受け取ると、ゆっくり食べ始めました。
そして、ヨルくんの考えた、楽しいお話が、始まりました。
最初のコメントを投稿しよう!