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キキキキ……。
バタン、バタン、バタン。
グレーのコンクリートの高い壁に
囲まれた建物の前に停車した車の中から
如月、東、そして玲子が降りて来た。
「ここは……」
建物を見上げる三人、
「行こう……」
如月が二人に声をかけると
建物の中に入って行った。
ギギギギ……
鉄の重い扉が開く音とともに
両手に手錠をかけられ、
看守に連れられた男……。
ここは国内で有数の
銃犯罪や組織犯罪、サイバー犯罪、
そして国際犯罪を犯した者が
収容されている特別刑務所。
如月、玲子、東の前で
両手にかけられた手錠が外された。
手錠を外された男は両手首を
くるくると回すと、ゆっくりと顔を上げた。
すると、東がニヤッと笑いながら、
「よぉ~市原、久しぶりだな」
と呟いた。
そう……この男、市原慎二は七年前、
海が巻き込まれた事件で、如月と
司法取引きをして警察に協力をし、
銃撃戦の最中、海を庇って狙撃され
医療刑務所を経てここに収監されて
いた。
「東さん……如月さん、横石さん」
三人の訪問に驚きと懐かしい表情を
浮かべる市原、
「三人がお揃いで今頃この俺に何の用ですか?」
と尋ねた。
「市原……海外で潜入捜査中だった
山川海が数ヶ月前に行方不明にった。
我々も全力で彼の行方を捜査しているが
手がかり一つ見つけられていない」
如月が呟いた。
「海君が? 行方不明?
優秀な日本警察が手がかり一つ見つけ
られないって……」
市原が呟いた。
「山川は、横石と一緒に『Queen』に
関する情報収集と密輸拠点を探るために
ある国に潜入したんだが……
運悪く『Queen』に恨みを持つ
『スコーピオン』という組織と
関わってしまってな……
市川、おまえも聞いたことあるだろ?」
東が市川に尋ねた。
「あぁ、昔、Queenが壊滅させた
組織のことだろ? 細部までは知らないが。
で、俺に会いに来た目的は?」
市原が呟いた。
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