第四章 切り札の登場

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 如月が口を開くと話始めた。 「すまない。本題に入ろう。  昨日、警視庁公安課に経歴不問の 部署が新設された。  ここに所属する者は国が特殊任務に 従事することを認めた者のみで 構成される。  そして国が指示した特殊任務にあたる。  勿論、この部署の存在は世に 出ることはない……  そして、特別捜査管についても同様」  如月が微笑んだ。  「経歴不問……そういうことですか。 確かに存在が世に出ないのであれば 私のような囚人でも、立派な 特別捜査管になれる……ということか」  市川が呟くと如月は、  「流石、頭のキレは健在だ」  と微笑んだ。    「市原……おまえは、我々よりも あの国のことに精通している。  そして、何より一番に『Queen』に繋がる 人物に辿りつけるはずだ。  どうだ? 市原、俺としばらくの間 バディを組まないか?」  東が市原に尋ねると、彼は東の 隣に立つ玲子の顔を見ながら、  「東さんとバディか…… 昔みたいに横石さんとってのは ありなのか?」  「は? だめだよ。  横石はスコーピオンの 奴等に面が割れてるからな。  だから、俺、俺と行くの」  東が口を尖らせた。  市原は、クスッと笑うと、  「如月さん、俺が裏切ったら どうするんですか?  俺、裏切るかも……ですよ」  と尋ねると如月は、  「その時は、その場で君を消す…… かもしれませんね」と微笑んだ。  「それは、物騒だ……」  市原も微笑み返した。  「交渉成立だ……一週間後に東と出国だ」  如月が二人に伝えた。  「横石さん……」  市原が玲子に話しかけた。  「何?」  玲子が返事をすると、  「海君、絶対に探し出してくるよ」  市原が笑みを浮かべた。  「そうね……  今度は敵じゃなく味方として一緒に……  お願い、彼を探し出して」  玲子が市原を見つめた。  こうして、経歴不問の特別捜査管 となった市原慎二は刑務所から出ると、 東栄太と一緒に海が取り残された地に 向かった。
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