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土曜日の午後、またMOON TRIPに向かってる。
先週はあのまま新しい本は読まずに帰ってきた。
『月夜が見せる夢』の結末は追わないことにした。
知らない方がいい気がした。
メモのお相手は本を破った後もお店に通っているだろうか。気にはなるが考えてもわからない。喜美子さんを信じて、私は私のペースでやっていこう。今日から新しい本を読もう。
お店に近づくとドアが開けたままになっていて、箒で掃除している喜美子さんが見えた。
私に気が付くと手を振ってくれた。
『凛月ちゃん、待っていたわ。しばらくお店をお休みすることにしたの。』
『…えーー…』
中を覗くとテーブルに椅子が上げられて本が半分無くなっている。
『どうしてですか…って聞いていいですか?』
『北海道の親戚のところへ行くことになって…でもまた帰ってきたら再開するつもりよ。そしたらまた来てね。』
喜美子さんの目から涙がポロポロと落ちた。
『凛月ちゃん、お店に通ってくれてありがとうね。あなたと出会えたこと、本当に感謝してるの。』
『そんな…まだ4回しか来てないですよ…。』
『それでもね』喜美子さんはエプロンで顔を押さえてから微笑んだ。
そしてカウンターに行って紙袋を持ってきた。
『コーヒー豆とミルとドリッパー、もらってくれる?』
『いいんですか。』
『ええ。このお店を思い出しながらコーヒー飲んでくれたら嬉しいわ。』
『ありがとうございます。』
『またね。また必ず会いましょう。』
そう言ってまた目を潤ませた喜美子さんと握手してお店を離れた。
買い物してから家に帰って、さっそく淹れてみることにした。すぐにできるように一式揃っていた。
ありがたいな…私はただ1ヶ月通っただけなのに。
そして紙袋の一番底に封筒が入っているのに気がついた。それは喜美子さんからのお手紙だった。
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