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頭に浮かんだのは幼い頃に見ていたアニメだ。可愛らしいお姫様が主人公のアニメに登場する王子様に幼い頃の蘭は目を輝かせていた。王子様がお姫様ではなく自分と結ばれる妄想を頭の中で描いていたほどである。
しかし、その王子様は三次元のこの世界に存在しているわけではない。いたとしてもコスプレイヤーのコスプレ姿だ。叶うことのない恋である。
「あの王子様のせいで、私の恋愛観はおかしくなっちゃったような気がするな〜」
ひとりごとを呟き、蘭はグラスに残っていたカルピスを一気に飲み干した。その間に頭に浮かんだのは、思い出すのも恥ずかしくなる、所謂「黒歴史」と呼ばれるものである。
世の中の男の子はみんなあの王子様みたいなんだ、と幼い頃の蘭は本気で信じていた。そのため、周りの男の子がアニメの王子様と真逆のことをすると注意して回ったのだ。
『王子様は「ブス」とか絶対言わないんだから!「世界一綺麗だよ、プリンセス」って言って、手にキスしてくれるの!』
『王子様はお姫様を絶対に守るの!剣でかっこよく戦うんだから!そんな臆病で泣き虫な王子様なんていないわ!』
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