雪空に蒼き燕舞う

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 寒さに負けてしまった観葉植物の無残な姿が浮かびあがっている。あたしも彼方がいなかったら彼らのようになっていたことだろう。  外に出ようなんて、考えたこともなかった。  白鴉に捨てられたら、一人で静かに生を終わらせるものだとばかり思っていたから。  でも、彼方が外からここへ来て、奪ってくれた。その方法はきっと非合法。だけどいまさら法令遵守なんて関係ない。 「大丈夫?」 「……ん」  彼方に抱き上げられて敷地の外に出た。すでに白鴉の姿はなかった。電源を落とされたアンドロイドが寂しそう。  外の世界は蒼くて静謐で雪が舞っていた。禍々しいほどに色鮮やかだった偽りの温室で白い鴉に監禁されているあいだに、世界はまた、変貌していた。  たぶんあたしは冬を越せない燕なのだろう。それでも愛するひとと再会してふたたび愛を取り戻せたから、それでいい。  だって、楽園を追放されたアダムとイブは、それでも幸せだったじゃない。  この廃れた楽園を出て、どうしようなんて考えてない。  外の世界へ飛び出すと冬眠する身体がどこまで耐えられるかもわからないんだし。 「どこへ行くの?」 「どこがいいですか?」
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