300人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもスーツを購入する場所で、ネクタイを選んでいた。
桜庭さんは隣に並びながら、一緒にネクタイを見ている。
「スーツは紺色でベストも紺色だから色は揃えたいんだけど、柄があるものが良いか無いものにするか悩んでるんだよね」
「紺色…なるほど…」
色々会話をしながら一緒にこうして選ぶ時間は、結構楽しかった。
その間彼女も結構楽しそうにしていてくれたと思う。
一緒に話しながら選んでいると後ろから男性の声に話しかけられる。
店員だろうか、スーツをきっちりと着こなして柔らかい雰囲気で話しかけてきた。
「何かお悩みですか?」
「あ、大丈夫です。彼女に選んでもらうので」
「かしこまりました。ごゆっくり」
あっさり引き下がってくれた事に少し安心したけど彼女の目線は男性店員に向いている。
何でそっち見て…。
あまりその様子を見ているのは面白くなくて「ねぇ」と声を掛ける。
俺の声に桜庭さんの顔がようやくこっちに向く。
「はいはい?」
「こっちに集中して」
目が合うと徐々に彼女の頬が紅潮していく。
その反応で彼女がまだ俺を好きで居てくれてる気がして、少し安心した。
「どっちが良いと思う?二択まで選んだ。」
「あ、でも先輩はこっちのシンプルなヤツのほうが…。」
会話を戻して、彼女が選んでくれたネクタイを購入することが出来た。
最初のコメントを投稿しよう!