前を向く

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彼女と一緒に結婚式場に着いて、式が始まる。 こんな形で見ると思ってなかった初恋ですごく好きだった子のウェディングドレス。 いつかは見てみたいなんて思ったけど、その相手が兄で見る事になるなんてこんな経験簡単に出来るもんじゃないだろうな。 俺も少し早く勇気を出してたら、あそこに俺がいる未来もあったんだろうか。 そんな今更遅すぎるたらればを思っている自分がおかしい。 そんな後悔はあるけど今は、意外と冷静で傷付いてなんかいなくて。 桜庭さんのほうがドキドキした様子でこちらを見ているのが伝わる。 まだはっきり整理がついていないのも事実だけど、2人が結婚するって聞いたときほどのショックはないし。 むしろようやく終わったという安心感で、少し満たされたりもしていた。 𓂃𓈒𓂂𓏸 披露宴中、少し落ち着いた二人のもとに顔を出すと沙羅も兄さんも笑顔を見せてこちらに向いてくれる。 「類くん!郁ちゃん!来てくれてありがとう!」 「沙羅さん!すっごく綺麗です!」 「ありがとう、嬉しい。」 そんな会話をすると沙羅の顔がこちらに向く。
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