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披露宴も終わって締めていたネクタイを軽く緩めて助手席に座る桜庭さんに声を掛ける。
「まだ時間ある?帰り送ってくから、少し話したいんだけど。」
「…時間、無いです。怖すぎます、その誘い方。」
「はいはい、じゃあこのまま拉致で」
「じゃあ聞かないでくださいよ!」
そんな彼女の大きな声に少し笑って車を走らせる。
一旦、落ち着いたし話しとくべきだよね。
どこで話そうか悩んだけど、夜は人が少ないリバーウォークがある場所まで車を走らせた。
𓂃𓈒𓂂𓏸
少し2人で歩いてから、途中立ち止まってそこで川でも眺めながら話す。
「今日、式に来るまでは結構自分の気持ちのことで不安だったんだけどさ」
「…はい」
「沙羅の姿見ても何も思わなかったわけじゃないし、伝えておけばよかったなとか色々後悔はしてるんだけど、意外と平気だったんだよね。」
「平気、ですか?」
「うん、まだ好きだとも思うけど、でもそれよりも早く過去の気持ちにしてしまおうって前向けてた。結構純粋な気持ちで兄さんと沙羅の事祝福できてて自分でも少しびっくりしたくらい。」
そう言うと何もわかって無さそうな顔。
純粋に前向けてるなら良かったなんて思ってるんだろうな。
それだけだったら君に話す意味ないでしょ。
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