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「君のおかげなの、分かってる?」
「へ、何で私。」
「…分かってないならそのうち理解して。」
そう言って彼女の元を少し離れて歩き出す。
相変わらずまだ素直に言うことは出来ない、自分の面倒な性格。
「え、どういう意味ですか!」
「さあ?あ、それと」
後ろから騒ぐ彼女の方に軽く振り向く。
「沙羅の事、ちゃんと整理ついたら君とのことも考えるつもり。だから勝手に告白取り下げたりしないで。」
「…え、考えるって…。」
桜庭さんの言葉を聞かずにまた歩き出す。
「ちょ、ちょっと待ってください!本当にどういう意味!」
後ろから騒ぐ彼女がおかしくて少し笑ってしまいそうになる。
本当沙羅の後に君のこと考えるだなんてどうかしてる。
似てるななんて思ったこともあるけど、ポンコツだしうるさいし。
全然俺のタイプじゃないのに。
それでもいつか本当に前を向けた時に、隣にいるのが君だったらなんて。
「先輩!大好きです!告白取り下げません!」
「はいはい」
そんな彼女の元気な声を聞きながら、前を歩き続ける。
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