先輩2年目

1/10
前へ
/260ページ
次へ

先輩2年目

桜咲いて少し日が経ってから、道に散った花びらを眺めてまたこの時期が来たなと感じた。 彼女と初めて会った日もこんな感じで、晴天の中桜の花びらが散っていた。 春が来たと思えば、なんとなく彼女に合うなと感じてしまう。 ───春にやってきた嵐の様な後輩。 あの日から俺の日常もなんだか少しずつ変わっていって、やらかして荒らした後静かに止んでいく感じが嵐の後の天気そのもので。 本当、いつも飽きないななんて思ったりしていた。 そして今日も出社してデスクに向かうと彼女がにこにことして「おはようございます!」なんて挨拶をしてくる。 「おはよ」と返してデスクの上を見るといつものコーヒーが置かれている。 2年目になっても変わらず続けてくれている朝のコーヒー淹れ。 別に強制してるわけじゃないけど、続けてくれていてそんな変わらない朝にホッとする。 それから数時間後の営業2課は、新しいスーツに身を通した男女が2人来た。 既に嫌な予感がしている。 そしてその嫌な予感は、的中する。 「水無月(みなづき) 志織(しおり)です!一生懸命頑張ります!」 「小川(おがわ) (しゅん)です。」 大体こういう指導係は2年目とかが付きやすい。 1人は桜庭さんの担当でもう1人は…。 容易に想像がついて、今年もこれからは逃げられないのかとうんざりする。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

296人が本棚に入れています
本棚に追加