先輩2年目

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「営業は頭に入れるものを入れないと契約なんて取れないって話は入ってすぐにしたと思うけど、それを聞いて資料とかまじで整理しただけだった?企業の事とかについて触れるきっかけは渡したはずだったけど。」 そう言葉にしただけで少しは理解したのか、顔色が変わる。 昨年の彼女には結構きつく叱ったんだっけ。 そんな事を思い出して、俺は目線を逸らす。 もう理解できたなら良いでしょ、これ以上は。 「もう少し、頑張ってみたら。彼女に君の指導はできないよ。」 「…わかりました」 その場から離れていく小川を見送って、俺も続きの仕事をする。 要領は悪くないし、このまま行けばすぐ自立できるだろうな。 視線を感じて彼女の方に目線を向けると少しニヤニヤしていた。 「先輩ってツンデレですよね、面倒くさい」 「は?喧嘩売ってんの」 「いいえ、褒め言葉です」 そう言って水無月さんの指導に戻っていく。 やりにく。
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