先輩2年目

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終業時間が過ぎて、小川はまだ帰ってこなかった。 まだ資料室…? 少し顔を出そうかと思っていた時に桜庭さんも同じことを考えたのか席を立ち上がる。 「先輩、資料室に資料戻してきます。何か持ってくるものとか、戻すものありますか?」 「…いや、特に無い。」 「わかりました、ちょっと行ってきますね」 資料室に向かう彼女の背を見送って俺も少し残ることにした。 𓂃𓈒𓂂𓏸 しばらくすると2人が帰ってきた。 小川と目が合うとこちらに寄ってくる。 「今日は、すみませんでした。また明日からお願いします。」 「…うん、お疲れ。」 言葉を交わすと彼は退勤していく。 その姿を見届けると、少しだけ笑ってしまう。 どこまでもそっくりだな本当。 隣に座った桜庭さんに少し話しかける 「本当、素直な所も真面目な所も君にそっくり」 「笑う所ですか、それ」 「可愛い後輩だなって思ったんだよ。」 そう言うと桜庭さんの表情が一気に柔らかくなって微笑んできていた。 「それは遠回しに私も可愛い後輩であってます?」 「はあ?調子乗りすぎ」 「もう素直じゃないんだから!」 なんて二人で笑いあって。 思ってるよ、ちゃんと可愛い後輩だって。
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