自覚してしまった感情

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自覚してしまった感情

週明け、またこの気だるさに襲われながら出社する。 いつも言い合いなんてよくあることだけど、今回はいつものと訳が違うだけに朝から深く溜息が出た。 オフィスに着くと彼女の姿はない。 どうせ顔を合わせるからいつ会っても同じだけど、何だか少しホッとした。 PCの電源を付けて仕事の準備をしていると、隣からマグカップを差し出してくる。 これだけで誰か分かる。 顔を上げると少しムスッとしてる桜庭さんと目が合う。 「(何その顔、可愛い。)」 俺は怒っていたわけでもないし、普通に会話をしようと思っていただけに怒ってますと全力でアピールしてくる彼女を可愛いなんて思えてしまって笑いそうになる。 「…ありがとう」 「…はい」 そんな会話をしてもらったコーヒーに口をつける。 重症すぎ、怒られてるのに可愛いなんて思ってしまうなんて。
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