自覚してしまった感情

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退勤時間が来ると、帰り支度をしていた桜庭さんがスマホを見ていた。 そこで沙羅からのお誘いに気付いたのかふとこっちを見てくる。 そして思い切り気まずいです、なんて顔。 せめて少しは隠せっつーの。 「…行くの」 「誘われて断れません、そんなの」 「そ、じゃあ俺も行く」 俺の返事に思い切り嫌そうな顔していたけど気にせず行く事にした。 気まずい空気感の中、2人で並んで沙羅の家に向かった。 その間全く会話は無い。 ようやく気まずい雰囲気が緩和されたのは、沙羅の家に到着してから。 「郁ちゃん、類くんいらっしゃい!」 「こんばんは!お誘いありがとうございます!」 「沙羅体調は?」 「もう、類くん心配性すぎ!最近は歩き回らないと少しでも。」 そんな沙羅の明るい声でようやく緩和された。
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