自覚してしまった感情

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「郁ちゃんと類くん、何かあったでしょ」 「え?」 「こうやっていつもの2人を見てきたから今日の空気感がいつもと違うのすぐ分かった。」 本当、鋭いしよく見てるな。 思わず感心する。 沙羅の昔から人の感情とかに敏感な所尊敬する。 「…最近、特に先輩の事がわからないんです。何か近づけば近付くほどよくわからなくなって、したくもない喧嘩して。この間も何で怒られたかもわからないし。」 この間…、飲み会の後のことか。 特に頭に入ってこないのに無意味に本を数ページめくって、桜庭さんの言葉に耳を傾けていた。 沙羅、わざとだろ。 この会話聞かせるために兄さんの仕事部屋に。 リビングの会話はすごく聞こえてくる。 「うーん、類くん言葉足らずだし不器用だからな。話す以外で解決策は無い様な気がするけど。」 「ですよね、分かってはいるんですけど中々勇気も出なくて、私怖くなっちゃってるのかも知れないです。先輩から気持ちとかを聞くのが。」 待たせてしまって不安になってるのも当然、だよな。 だけど、本当に俺なんかが彼女の手を掴んでしまっても良いのか。 俺よりももっと君を大事にしてくれる奴が居るんじゃないかなんて思えて仕方ない。 そんな答えは出ないけど、それでも。
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