上手く交わらない

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「あ、ごめんなさい。志織ちゃんだと思って。」 「今日これから出るけど、退勤前には戻ってくるつもり。何かあったら連絡して、それと小川も今日は連れてくから」 「あ、了解です。」 「じゃあ、よろしく」 伝えたい事は伝えたので資料室を出ようとすれば、突然後ろから腕を掴まれた。 急なことで驚いて振り返ると桜庭さんは少し顔を赤くしてこちらを見ている。 「今日、定時で上がれそうなんです。」 「うん」 急な定時宣言だけど、もしかして誘おうとしてくれてる? そんな期待だけが上がって中々何も言わない彼女の言葉を焦らされながらも待つ。 「じゃなくて…、その…。」 少し照れくさそうなのがまた可愛い。 痺れを切らして俺から誘ってしまおうか悩むけど、彼女から誘ってもらいたくて俺は我慢して待っていた。 そんな俺達を邪魔するように資料室のドアが開く。
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