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「一ノ瀬さん、そろそろ出ないと時間が。」
「今行く」
本当、タイミング。
でも無かった事にするのは嫌だし。
そんな風に考えながら「桜庭さん」と声を掛けると、少し驚いた顔してこちらを見ていた。
ポケットからスマホを出して軽く振る。
「これで詳細送る。その事も。」
そう言うと桜庭さんが掴んでいた腕をそっと優しく下ろして資料室を出る。
後もう少しだったけど、きっかけをくれただけでも。
「何、してたんですか?」
「補佐に自分の仕事お願いしてただけ。」
そう言って小川に返事をして一緒に駐車場に向かう。
俺のこんな言葉で納得するはずもないのはわかっていたけど全て話す必要なんて無い。
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