上手く交わらない

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外回りも終わって一緒にオフィスに戻ってきていた。 「今日の報告書は来週まででいいから出して。」 「わかりました。」 そんな会話をして自分のデスクに戻ると、桜庭さんは俺の顔をどうでした?とでも言いたげに覗き込んで来ていた。 それともう今日は上がれますか?忘れてませんか?と声になって聞こえる。 言葉に出せばいいのに、そんな伺うように。 少しおかしくてファイルで頭を軽く小突く。 「契約取れたから追加しといて。」 「え、さすが先輩です!」 「それ終わってからね。」 そう言うと桜庭さんの顔が一気に緩んだ。 ファイルを受け取ってご機嫌で打ち込み作業をする彼女に少し笑って俺もやらなきゃいけないことだけ済ませてしまう。 こんな事で喜んでくれるんだな。
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