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その日終業時間が来ても彼女の作業が若干終わらなかったようで、自然に待ち合わせできるように先に俺が会社を出て約束の店で彼女を待つことにした。
彼女から時々来る連絡を眺めながら待つ。
«先帰らないでくださいね»
なんて涙目になった顔文字で訴えかけてくる。
店のタブレットを手に取って彼女を待っていると、数分後くらいにやってくる。
意味もなく見ていたタブレットを置き型の充電器に戻して店員に一杯目の注文を済ませる。
「遅かったじゃん、何かトラブル?」
「いえ、私のいつものポンコツが発動しまして…、志織ちゃんに助けてもらいました。」
「本当君たまにやらかすよね。」
何か注文したいかと思い、もう一度タブレットを手にとって彼女に渡すと「ありがとうございます」と軽くお礼を言って受け取る。
軽く料理の相談をしながら彼女が注文をしてくれ、随時料理が運ばれてきて2人だけの飲み会は開始された。
「というか沙羅さんもうすぐですか?」
「まだじゃない?確か12月とかだったはずだよ。」
「あ、全然まだ先だった。私が浮かれすぎちゃって。」
なんて言いながらも彼女は届いたアルコールを流し込んでいた。
嫌な予感がする。
この子がこのペースで飲む時碌な記憶がないんだけど。
そう思いながらもしばらくは見守っていたが、それが失敗だったと知る。
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