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前回来れなかったパスタの店に今日は予約してたのもあってスムーズに入れた。
席に案内してもらって彼女と対面に座って、水を持ってきてもらって、それから注文を済ませた。
落ち着いてから「そうだ」と呟いて、自分の鞄から白い封筒を出した。
桜庭さんの目の前に出すと目を丸くして封筒を見ている。
「何ですか?これ。」
「兄さん達から君にも来て欲しいって。」
桜庭さんがそっと封筒を手に取って、中を開いて招待状を確認していた。
その招待状を見るなり、どんどん複雑そうな表情になっていく。
とてもじゃないけど招待されて嬉しいという感じではなかった。
色々考えてるんだろうな、また。
何を考えているか心当たりがある。
特に気にせず頬杖を付いて窓の外を眺めていた。
それから少し間が空くと彼女が話しかけてくる。
「…ごめんなさい、私が聞く事じゃないかもしれないですけど、沙羅さんに本当に伝えないんですか?」
「伝えないよ。墓場まで持ってく、好きだった気持ちだけは。」
「墓場までって…。」
「結婚式前に伝えても動揺させちゃうし、2人に気付かなかった申し訳ないって気持ちのまま式を迎えて欲しくない。2人の事だから、言ったら絶対俺の事気にするし。もう、遅かったんだよ。伝えるには」
それにそんなにもう伝えたいとか思ってない。
好きだった気持ちは今もあるし、引き摺っているけどだけど少しずつようやく吹っ切れてきている。
───自覚ないでしょ、こう思えてるのも君のおかげって。
これも君に言う気は今はないけど。
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