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僕は、このネズミの天使?のいう事に従って、この狭い物置きの奥へ這っていった。
ビリビリビリビリっ!!
「あっ!御免!僕の天使のコスチュームが破けてしまった。
ほら!ここだ。」
ネズミが懐中電灯で照らした場所を見ると、そこには掘った穴とスコップが置いてあった。
あれ?確か、この物置きの床は一面コンクリートのはずでは?
「でもあったんだよ!!
コンクリートじゃない地面が!!
僕が・・・この自慢の歯で・・・コンクリートを齧って・・・」
懐中電灯で照らされたネズミの歯を見て、僕は仰天した。
コンクリートをずっと一生懸命に齧り続けたこのネズミの歯は、ボロボロに砕けかけていたのだ。
ここまでして、僕を・・・
元々、僕がここに閉じ込められたのは親の行いが悪かったのに・・・
一匹のネズミに心配かけて・・・
僕は、申し訳ない思いに感極まって目に涙を浮かべた。
「そう泣くなよ、君。ネズミの命は人間より短い。
この命を誰かの為に使うのこそ、君を救うネズミ天使の役目だ。」
天使だよ!!君こそ、天使の中の天使だよ!!
僕は涙を振り切ると、スコップを手にしてこのネズミがコンクリートを齧って土の見えている場所を、一生懸命に掘った。
ざくっ!ざくっ!ざくっ!ざくっ!
だいぶ掘っただろう。
光がみえた。あと一息!!
ざくっ!!
ぱぁぁぁぁ・・・
眩しい!!
何十日ぶりの外だ!!
ここは・・・近所の公園だ!!
夢中になって穴を掘ったら、近所の公園まで掘り進んでいたんだ!!
ありがとう!!ネズミ天使さん・・・あれ?
モクモクモクモクモクモク・・・
ゲホッ!ゲホッ!なんじゃこりゃ?!
突然掘った穴から、白い煙がモクモクと立ち込めてきた。
これは・・・害虫駆除のバルサンの煙?!
僕は身の毛がよだった。
僕は、このバルサンの煙に燻られて物置きの中で、親に殺されそうになってたのだ。と・・・
天使ネズミが身を挺して忌まわしいき物置きから脱出させたんだ・・・
で、天使ネズミは・・・出てこない!!
いや、居た!!バルサンの煙を祓って穴の奥に見た、ネズミの死骸・・・そう、あの天使ネズミだったのだ!!
あのネズミは、本当に天使になってしまった・・・ !!
ありがとう!!天使ネズミさん!!
君は、僕の永遠の天使だよ・・・
僕は、胸が締め付けられる位に感極まって涙を流して掘った穴を用心の為に埋め、
涙を振り払って、児童相談所へ向かって走っていった。
〜ここに居るのは天使〜
〜fin〜
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