《星々の出会い》

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《星々の出会い》

 星々がきらめく夜のことであった。  機械をいじっていたレガーデン・スウェリーことレガンはその星のなかにある一つの星に向けて心を虜にされていた。  伝説上の星で島とされているベガは一体どのようなものなのかを知りたいのである。 「ベガってどんなところなんだろうな。……やっぱり機械で溢れているのかな?」  星々のなかで一番輝いている星を見てうっとりとしていると――空からなにかが落っこちてきた。  一瞬、隕石かもしれないと思ったがよく見ると、……翼の折れた女の子であった。 「まずいっ、助けなきゃっ!」  レガンはクッション材をこれでもかと持っていき着地点を瞬時に計算して置いた。すると少女は見事に着地し――冒頭に戻るのだ。 「えっと……その、あの……」  丸い大きな瞳の彼女は赤チェックのワンピースを震わせてなにかを紡ごうとしていた。だが一向に話してくれないのでレガンは息を吐いた。  レガンが息を吐き出したのと同時に身体がさらに震える少女へにっこりと微笑んだ。 「俺はレガーデン・スウェリー。機械を専門とした発明家を目指しているんだ。夢は伝説上の島、ベガに行くこと!」 「……ベガに?」  少女のか細い声が聞こえる。ベルのような高い声にレガンは心を取り込まれそうになった。そんななかで少女は意を決するように「私はリンギル・ドリトゥイ、15歳」言葉を口にした。  レガンの顔が綻んだ。 「じゃあリンだな! 俺はレガンって言ってくれ。外は少し冷えるな……。なんかお茶があるかどうか調べておくから!」 「あ、あのっ!」 「ん、なに?」  リンは俯いたまま言葉にした。 「私のこと……どういう存在か知りたいとか、思わないの? 私、空から降って来たんだよ。翼も生えていたし……」  今は翼をしまっているリンにレガンは微笑んだまま「気になるさ」なんて言ってから続ける。 「でも、無理に話すことはないよ。空から降って来たんだ。なんか理由があるんだろ?」 「ま、まぁ……」 「だったらそれで良いじゃん。言いたくなったら言えばいい」  そして油の付いたグローブを布で拭きとってから置き、リンを室内に案内した。室内はこぢんまりとしているが、嗅ぎなれた油の匂いにリンは落ち着く。  レガンがマグカップに紅茶を淹れて現れた。恐らく香り的にアールグレイだ。礼を言って受け取ると、目の前にある機械にリンは目が行く。 「この大きなものは……なに?」 「あぁ、これ? ロケットだよ。このロケットでベガに行きたいんだ」  ロケットの傍に駆け寄り優しく撫でるレガンの姿に雄々(おお)しさを感じたリンは頬に手を添えて顔の紅潮を隠す。  男性と話すのはリンにとってはあまり経験したことがなかった。レガンは年齢的には同性代ぐらいだろうか。 「あのっ、レガンって歳はいくつ?」 「お、俺? 俺は16歳。リンより一個上だな!」  溌溂(はつらつ)としたレガンにリンは自分のなかに秘めた能力を示そうとした。
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