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《不思議な子》
レガンは機械いじりを生業としている機械技師かつ発明家だ。様々な発明品を仲間に披露しては称賛を得るのもあるが逆に馬鹿にされたりなどするのである。
特に発明品を馬鹿にされることが多いのだが、ひとたび機械をいじってしまえば見違えるほど奇麗な状態で整備をしてくれる機械技師だ。
だが夢は機械で溢れているとされている機械の島、ベガに行くこと。この夢は両親が亡くなった今でも変わりない。
両親も精巧な機械を造る機械技師であった。
「よし。この機械はこれで良いな。……さて、もう寝るとするか」
両腕をぐぅと伸ばし、古びたラジオを新品さながらの状態にしたレガンはベッドで眠っているであろう不思議な少女の元へ行く。
彼女は寝息を立てて眠っていた。そのあどけない姿にレガンの顔は綻んだ。
「不思議な子だよな。空から降ってくるなんて」
触れようとしたが良心が働いて触れることをためらう。機械のような重厚な羽で現れた天使の少女に触れて良いかさえわからない。
レガンは息を漏らした。
「……もっと仲良くなったら、教えてもらえるかな?」
リンの健やかな寝顔を見てからレガンは大あくびをして床にマットを敷いて布団引き出して眠る。
この少女は、空から降って来た少女は何者なのだろうかと頭にふと過って眠りについた。
美味しそうな匂いがして目を覚ますと、リンがフライパンでなにかを作っていた。起き上がり声を掛けると、リンは少し驚きつつにこりと微笑む。
「おはよう。お世話になっているから、そのお礼がしたくて……。勝手に玉ねぎとか、海鮮類とか使っちゃったんだけれど……」
香り立つコンソメと魚介類の香りにレガンの腹が鳴いた。大きく音を立てるレガンの空腹時の音にリンは肩を揺らして笑う。
「今、海鮮ピラフ作っているから。それから、簡単だけどわかめのスープも」
「おっ、作ってくれたんだ! ありがとな」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます」
シミだらけの簡素なエプロンを身に着け、花のように微笑むリンの姿にレガンの心が高鳴る。
仕事が終わったら今すぐにでもリンを街まで連れ出して、服を買ったりエプロンも可愛らしいのを試着させたりしたいなとレガンはふと思った。
リンの赤チェックのワンピース姿は可愛らしいが、ほかの服も良いなとも考えている。
リンがフライパンを振って火を止めた。
「できたよ~。海鮮ピラフにわかめスープです。この国は魚介類が多くて良いね」
奇麗になった机に皿を並べて頂く。二品ともとても美味であったが、特にピラフはバターがふわりと香り立ち、米が立っていておかわりしてしまうほど美味い。
「美味いな! リンって、機械を造れるだけじゃないんだな。すげぇっ!」
「ふふっ。ありがとね、レガン」
視線と視線が合わさり二人は顔を逸らす。ピラフもわかめスープもまだ温かい状態であった。
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