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《双子の兄弟》
整理をすると、金髪の少年がリックで銀髪の少年がロックであるようだ。二人とも双子で髪色以外は瓜二つである。
リックが兄でロックが弟であるようだが、甘えたさんな兄のリックに比較してクールで大人びているロックはよく兄だと間違われるらしい。
双子の兄弟は資産家の家で育っており、両親に甘やかされて生きているが、レガンによると最近では父親が教育に厳しくなったらしく兄のリックが反感を抱いているようだ。
そんな兄弟が手にしているのは壊れかけの飛行機のラジコン。リックが涙目になっていた。
「だっ、だって~、ロックの戦車の方がかっこいいんだもん! ロックと同じのが欲しいのに父上が買ってくれなくて……」
「だからこの高っそうな飛行機壊したのか? このバチ当たりめ」
レガンが泣き出しているリックに軽くデコピンをする。「痛ってぇ!」また涙目になるリックにロックが頭を下げた。
「ごめんなさい。リックも悪気がなかっただろうからさ。僕が戦車をあげればいいだけの話だし」
「ロック。お前はリックに甘えさせすぎだ。こういうときは物を大事にする習慣を覚えさせないと、駄目なんだぞ?」
「へぇ~、そうなんだ。さすがだね、レガンは」
ふんわりと微笑むロックにリンは置いてけぼりになりつつも、ついには泣き出してしまうリックへ視線を向けた。
戦車でも良いが飛行機もかっこいいものであった。だが喧嘩せずに奪い合いもせずに二人が仲良く遊べるような、そんな機械を想起した。
「ちょっと待ってて」
「え、リン?」
リンは胸に手を当てて機巧操縦を行う。光り輝いたかと思えば生み出されたのは……二台のバイクであった。
リックは泣き止み、ロックは驚いた様子でリンを見つめる。するとリンはにこりと微笑んで片方のバイクをリックに、もう一台をロックに与えた。
「飛行機もかっこよかったけれど、バイクも良いでしょう? でも飛行機はレガンに直してもらおうね。せっかくかっこよくて素敵な飛行機なんだから」
リックに向けて笑えば、たちまち真っ赤になってロックの背中に隠れるリック。不思議そうな表情を見せるリンにロックは薄く笑った。
「リック、惚れたからって僕の後ろに隠れることないんじゃないの? ありがとうございますって言いなよ」
「ばっ、そんなんじゃないし!」
小突いている幼い弟と赤面している幼い兄の姿にリンは軽く微笑んだ。それから「大事にしてくれたらそれで良いよ」そう告げてリックとロックの頭を撫でる。
リックが真っ赤になり、ロックはちゃんと礼を告げていた。その姿をレガンは微笑みながら次の客を捌いていた。
「妙な力を持つ子が居るな……。これは金になるかもしれない」
男は持ち場を離れて先ほどの光景を見てあくどく微笑んだ。そしてその情報を武器密輸業者やら警察やらに流し――金を受け取ったのだ。
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