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真紅の箱から流れ出る血の色に、樽谷は意識を失いかけた。その肩を、鬼柳の手が何度か揺すって目覚めさせる。
「お前への恨みで、椿の首が千切れそうだ。さあ、真実を話せ。それとも、生首に噛み殺されたいか?」
あの真紅の箱の蓋が開けば……。
苦痛にもがいた椿の生首が、ありありと目に浮かんだ。
すでに失禁した樽谷は、報復に身震いした。
「キスしたくらいでナイフを叩き落とすほど抵抗するとは思わなかったんだ! そうしなければ、首を締めるなんて」
気絶してくれればいい。椿の細い首に軽く手をかけたつもりだった。
我に返ると、彼女は動かなくなっていた。
見開かれた、ガラス玉のような瞳に醜い樽谷を映して。
物言わぬ死体になって横たわっていたのだ。
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