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トリア・ルキューラ
僕の所属するルキュール寮では月に一度、トリア・ルキューラという行事を行なう。遥か昔、人魚の国が魔獣の侵攻を受けた際、学院の創設者の一人、海の聖女ルクが、人魚達の傷を癒した逸話に由来する行事だそうだ。寮生は夜八時に談話室に集合し、月影石を詰めた七つのランタンを今月の当番に渡す。それが済んだら外に出て、全員で寮をぐるっと囲むように並ぶ。当番がランタンを掲げると、乳白色の明かりが柔らかくこぼれた。
「この大洋を成すひとしずくに至るまで、平穏と安寧で満たされますように」
祈りの言葉を唱えたら、ランタンと同じ色をした光の雨を皆で降らせる。まるで願いを運ぶ流星だ。いつかの人魚達も同じ光景を見ていたのだろうか。
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