満月の夜に

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満月の夜に

 華金だった。  高校生だろうが、華の金曜日であることは間違いない。私の心は学校から解放され、家の中でウキウキと読む漫画を漁っていた。  しかし、ご飯を作っているお母さんから厄介な頼まれごとをしてしまった。 「豆腐買ってきて」  満月が金曜日を祝福する中、私は適当なサンダルを履いて、スーパーに足を向けた。    そして、冒頭の「コレ」である。 「て、天使先輩」 「天使(あまつか)な」  そう、目の前には噂の天使(あまつか)先輩がいたのだ。月明かりに照らされた先輩の頭から、何やら棘のようなものがあったような、無かったような。  さっさと帰ろうと近道をしたのが運のつきだった。ものすごい形相をした天使先輩が私を見ている。天使の微笑みはどこでしょう。 「お前、どこから見ていた」 「いや、なにも」 「頭見たか」 「いや、棘なんて付いてなかった―――……あ」 「見たな」 「は、はひ」  オワッタ。
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