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でも、そんな2年も続いた有希と彼女達との根競べも今日で終わりを迎える。そう、彼女たちから見たら有希は逃げ出すのかもしれない。
──笑いたければずっと笑ってればいい。でも私はあなたたちのことは絶対認めない。私の少しばかりの夢と希望を毎日毎日、潰していった貴女達のことを。
それは驚くほどあっけないものだった。
「今日でやめます、部長」
有希の言葉にメンバーたちは誰も振り返りもしなかった。
「結局、やめるのよね」勝ち誇った声が飛び交う。
薄笑いと嘲笑が有希の無防備の背中を襲う。
狭い部室に髪の毛をブラシですく音だけが静かに響いた。
「やっぱり気持ちはかわらないの? そう・・残念ね。 まぁ、大学生活まだ先長いし、頑張って」
鏡を見ながら、目も合わせずに彼女はその一言で片づけた、有希の2年間を。
──思い返せば、コイツが入学式の時に声をかけてきたのがそもそものボタンの掛け違い。可愛い子を自分の側女みたいに傍らに置く、そんな女子の体育会系ではありがちな光景には反吐がでた。
「私達がしたいのはバレーボール、身の回りの世話ならマネージャーがいる」
そう有希は部長に直訴した。しかし、どうも、それは創部以来誰もすることがなかった”快挙”だったらしい
あくる日から、待っていたのは、お約束の追い出し。
来る日も来る日もボールを拾っては磨く日が続く。2年になっても試合に出してもらえない毎日。
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