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なんか……幸せだな。
なんてことない光景だが、幸せだ、と思いながら、玄関扉を開けると、車の音で帰宅に気づいたらしい晴乃が微笑みながらやってくるのが見えた。
こんな時間が一生続けばいいな、と思ったとき、自分と一緒に玄関から入ろうとしているものがいるのに気がついた。
ムカデだ。
「晴乃っ。
扉を閉めろっ。
ムカデが入ろうとしているっ」
「はっ、はいっ」
と晴乃は扉を閉めようとする。
充悟は慌ててムカデを蹴り出した。
外開きの扉だったので、扉に引っ張られて、一緒に中に入りそうだったからだ。
だが、その瞬間、ガチャンッという音を聞いた。
「いやっ、なんで今、鍵まで閉めたっ!?」
「えっ?」
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