哀愁漂う愛しの人  side 佐久間結翔

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「結翔くん、任天社の代表取締役社長を目指す気はないか」 祖父が任天社で伝説になるゲームプロデューサーだったのもあり、現任任天社の代表取締役社長から子会社化の打診と任天社の管理役員職へのヘッドハンティングは常にされていた。 悪い話ではない。 だが、大学時代は大企業のしがらみに惑わされたくなかった。 「心音は京都大学卒業したらOrange退職する?」 「しない。一生暮らせるぐらいの給料を前払いで稼がせて貰ったし、倒産するまではいるよ」 IT起業は成功と破滅の両極端。 成功してもやらかすとすぐに転落する。 「心音、ありがとう」 心音のためにも株式会社Orangeは潰せない。 ユーザーが減りつつある“闘神伝説”と“天知崩壊クエスト”を廃れさせるわけにはいかない。 アニメや飲食店のコラボや少しのバグでも詫び石対応をした。 心音と株式会社Orangeを経営していきたかった。
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