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西山。彼も教師だった。
誰からも好かれている男だった。
それを幸助は、面白くないと思っていた。
思っていたはずなのに……。
幸助の記憶にモヤがかかる。
「テラァが食べちゃったんです。存在まるごと。困りますよね。最初はこの身体をまるごと食べました。それから西山先生。次は貴方だ。これでも欲を抑えてきたんですけどね」
七井は薄く笑った。
いや、七井を食べたというテラァという存在が笑ったのかもしれない。
小さな幾つものうねる小さな手。
ソレらが幸助のもとにゆっくりと、しかし着実に伸びていく。
それを幸助も七井も止めることなく、ただ眺めていた。
【完】
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