2章. 親への挨拶と、始まる同居

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………… クローゼットを片付けて、優菜の服を入れるスペースを作ることにした。 チェストも同じく。 着なくなった服とか、この機会に処分しよう。 すみからすみまでくまなくチェックしているのは、元カノの痕跡がうっかり残っていないか、確認しているため。 「真莉〜、この服いらないの?」 優菜が端によけた服を手にとって聞いてきた。 それは、元カノが見立てた過激なデザインのTシャツで、絶対似合うと言われて買ったもの。 「うん。あんまり着なかったけど、ちょっと俺には…」 「そうなの?じゃあ、私が家で着る服にしていい?」 「…え?」 「だってまだ傷んでないし、捨てるならもったいないかなって思ったの」 「これは…寄付とか、フリマサイトに売るようにするから」 「そうなの?じゃあ良かった!」 優菜はお嬢様で、あんなすごい家に住んでるのに、もったいないって感覚があるところがいい。 …可愛い。 「優菜には、可愛い服買ってあげる」 ピンクでレースとかフリルとかついてて… …脳内で、ミニドレスを着てる優菜が出来上がって…しばしボーっとしてしまった。 「ありがとう!…でも、真莉のお下がりがいい。真莉が着たやつ。いっぱい着たやつ」 「俺のお下がりって…なんで?」 「真莉の匂いがして嬉しいから。抱きしめられてるみたい…」 「いつでも…抱きしめるんたけど…」 ヤバい…可愛いすぎないか? そんなこと言われたのは初めてで、一気に心拍数が上がる。 「…優菜、おいで」 呼んでおいて自分から近づく。 来るのを待っていられない。 すぐに触れたい。今すぐ触れたい… 柔らかい体を感じて優しく抱きしめたけど、切ない気持ちはごまかせない。 合わせた唇は、すぐに舌を求めた。 絡ませあって優しく噛んで…舐める 少し…苦しそうな優菜。 そんな顔を見れば、止まれなくなると思った性急な切なさが…少しだけ落ち着いた。 「…苦しい?」 「…どうやって、息をするのかわからなくて」 唇を離して聞いてみれば、赤い顔をして意外なことを言う。 …もしかして、もしかすると…もしかするのか? 「こんなふうにキスされるの、初めて」 「…っ?!」 …もしかして、もしかしたっ! 「そ、それじゃ…その、あのさ…」 この…柔らかい肌に触れた男って、まだ… ハッキリ聞きづらくて言葉を濁していたら、優菜の方から。 「…付き合った人はいるけど、あんまりそんなことしないうちに別れて…最後までしたこと、ないんだ」 「…っっ!!」 …もしかした…っ!!
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