1121人が本棚に入れています
本棚に追加
…………
クローゼットを片付けて、優菜の服を入れるスペースを作ることにした。
チェストも同じく。
着なくなった服とか、この機会に処分しよう。
すみからすみまでくまなくチェックしているのは、元カノの痕跡がうっかり残っていないか、確認しているため。
「真莉〜、この服いらないの?」
優菜が端によけた服を手にとって聞いてきた。
それは、元カノが見立てた過激なデザインのTシャツで、絶対似合うと言われて買ったもの。
「うん。あんまり着なかったけど、ちょっと俺には…」
「そうなの?じゃあ、私が家で着る服にしていい?」
「…え?」
「だってまだ傷んでないし、捨てるならもったいないかなって思ったの」
「これは…寄付とか、フリマサイトに売るようにするから」
「そうなの?じゃあ良かった!」
優菜はお嬢様で、あんなすごい家に住んでるのに、もったいないって感覚があるところがいい。
…可愛い。
「優菜には、可愛い服買ってあげる」
ピンクでレースとかフリルとかついてて…
…脳内で、ミニドレスを着てる優菜が出来上がって…しばしボーっとしてしまった。
「ありがとう!…でも、真莉のお下がりがいい。真莉が着たやつ。いっぱい着たやつ」
「俺のお下がりって…なんで?」
「真莉の匂いがして嬉しいから。抱きしめられてるみたい…」
「いつでも…抱きしめるんたけど…」
ヤバい…可愛いすぎないか?
そんなこと言われたのは初めてで、一気に心拍数が上がる。
「…優菜、おいで」
呼んでおいて自分から近づく。
来るのを待っていられない。
すぐに触れたい。今すぐ触れたい…
柔らかい体を感じて優しく抱きしめたけど、切ない気持ちはごまかせない。
合わせた唇は、すぐに舌を求めた。
絡ませあって優しく噛んで…舐める
少し…苦しそうな優菜。
そんな顔を見れば、止まれなくなると思った性急な切なさが…少しだけ落ち着いた。
「…苦しい?」
「…どうやって、息をするのかわからなくて」
唇を離して聞いてみれば、赤い顔をして意外なことを言う。
…もしかして、もしかすると…もしかするのか?
「こんなふうにキスされるの、初めて」
「…っ?!」
…もしかして、もしかしたっ!
「そ、それじゃ…その、あのさ…」
この…柔らかい肌に触れた男って、まだ…
ハッキリ聞きづらくて言葉を濁していたら、優菜の方から。
「…付き合った人はいるけど、あんまりそんなことしないうちに別れて…最後までしたこと、ないんだ」
「…っっ!!」
…もしかした…っ!!
最初のコメントを投稿しよう!