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1章. 真莉の告白と優菜の返事
「ちゃんと、付き合ってほしい」
「…え?マジ?」
「…マジ」
しばし見つめ合う俺たち。
優菜の目は見開いたまま、じっと俺を見つめる。
「…目、そらしていい?」
10秒たっても何も言わない優菜に、俺のほうが根負け。
視線を下に向け、下がってきた前髪をかきあげながら言う。
「本当に、本気で言ってます。なんなら、その先のことだって話したいかも」
その先って、それは結婚。
琴音と響さんに感化されたと思われそうでハッキリ言えなかったけど…耳が赤くなるのが自分でもわかる。
あー、髪が伸びきってて、耳が見えなくてよかった。
「かわい…」
「は?」
女の子に告白して、可愛いと言われたのは初めてだ…
まぁ…今までの告白は軽すぎる言葉だったと今は思う。
それに比べて今の付き合っては、重みが違うんだけど。
それにしても…
本気で告白すると、俺は可愛くなるのか…?
「いいよ」
鈴みたいな優菜の声に視線を向ければ、無邪気に笑う彼女がそこにいて、自分でも驚くほど心臓がはねた。
「…あ、じゃあ…よろしく」
なんかカッコつかない、と思いながら、何か言わなきゃとそう言ったのに、優菜は「でもね…」と言葉を続けた。
「急に、終わったらごめんね…」
「…?」
…どういう意味だ?
フラれる前提ってことか?
なんだそれ。聞いたことない。
「私ね、お見合い結婚する運命なんだ」
当たり前のように、軽い調子で言う彼女。
「だから、突然終わる可能性があるの。でも…告白嬉しい!」
フワっと、ひと足早く来た春風みたいな笑顔を見せる優菜。
でも全然意味がわからなくて首をひねる。
「真莉…。ちゃんと、私で癒してから、次に行きなね」
「ん?俺が…優菜で癒される?」
難しいことばかり言う子だ。
優菜で癒されるのは嬉しいけど、それってどういう意味なんだろう…。
瞬間、花の香りが鼻先をかすめた。
まさに、春はすぐそこ…なんて思う間もなく、柔らかな長い髪が俺の腕にシャララ…とかかって。
唇に柔らかいものが当たった。
それが優菜の唇で、キスをされたと気づいた時は、不覚にもかなり赤面していたと思う。
「私を使って、琴音を忘れて、次に行くんだよ?」
「…何、言ってるの…?」
……今のキスで頭の中、真っ白なんだけど…
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