2章. 親への挨拶と、始まる同居

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2章. 親への挨拶と、始まる同居

とはいえ、どうしたらいいんだ? まさか敵が、実家の親だとは思わなかったぞ。 「真莉、そろそろ帰るね」 いつの間にか昨日のスーツに着替えていた優菜が、腕時計をしながらこちらに来た。 「…じゃあ…またね」 優菜はそっとかがんで、俺の唇にキスをしてくれる。 あー…嫌だなぁ。離れるの。 そう思いながら、じっと見つめるだけの俺に微笑みかけて、優菜は玄関に向かって歩き出した。 「…ちょっと待った」 「…?」 「荷物持って戻ってきて。…じゃなくて、俺も一緒に行く」 「ん?どゆこと?」 俺は優菜の手を引いて、駐車場に停まる自分の車に乗り込んだ。 ……… 「は…ここが、優菜の住まい…?」 「うん、まぁ…。社会人なのに恥ずかしいんだけど、父が心配して、セキュリティのしっかりしたところに住むようにって、こんなところに」 白亜の豪邸…といった感じ。 正確には、他にも居住者がいるらしいから、マンションなんだろうけど…。 低層の、こんなすごいマンション初めて見る。 「あーこんなすごいとこに住んでるとは思わなくて、俺んちみたいなマンションじゃ、狭すぎて居心地悪いか…」 安全面も、絶対ここの方が安心だ。 何しろうちには、「俺」という、優菜にだけスケベを働きたい20代男子がいる。 危険極まりない… 「ううん…真莉んちに行きたい…」 いつの間にか、シャツの裾を握りしめて、優菜が上目遣いの視線を寄越した。 視線が合えば、うっかり上がってしまう熱… 「うん…おいで」 甘くささやけば、優菜が手を取って、豪邸マンションに導いてくれた。 部屋に入れば、とたんに鼻腔をくすぐる…優菜の甘い香り。 妙に高鳴る心臓を感じながら、目に飛び込むのはピンク色のカバーをかけたベッド。 「…あっ!片付いてないから、見ないで!」 「寝室から持っていくものは、ないの?」 「ん?あるよ。枕と、パジャマと…」 慌ててドアを閉められたけど、誘導するように聞けば、簡単にもう一度ドアが開く。 「毛布…は、真莉のところにあるからいらないか…あ、でも」 俺はベッドに腰かけて、持っていくという枕を無意識に抱きしめていた。 「一緒に…寝るの?」 「…あ」 実は…朝起きて真相を聞いた後、最後まではしなかった。 すごく愛しく思ったし、タイミングとしてはバッチリだったのに。 なんというか…俺が触れると、優菜が少しだけ震えたような気がしたから。 もしかして今じゃないのかもしれない…そう思って、強引にコトを進める気にはなれなかった。 だから、しつこいくらいキスはしたけど、さっと体の線をなぞっただけで終わってる。 だから正直今、ちょっとヤバい。 「ね…るよ?」 俺の答えに、優菜はにっこり笑って「嬉しい…!」なんて言う。 俺だって嬉しい。 今日からずっと、優菜を抱きしめて寝れるなんて…朝起きれる気がしない。 こうして始まった…優菜との同棲生活。
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