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その時、天使の後ろから悪魔が現れた。
「はは、わかってねえなあ、天使様は。莉子はわざと俺に流されてんだぜ」
ニヤニヤと笑いながら悪魔は天使のほっぺをツンツンしてくる。
「わざとだって?」
「悪魔、余計な事言わないでよ」
私は慌てて悪魔を睨む。でも悪魔には私の睨みつけなんか全然効かなかった。
「莉子は、お前に構ってほしいんだよ。俺に流されりゃ、お前は莉子とこうして毎晩反省会するだろ?その時間が気に入ってるんだよ。な?莉子」
「そ、そんな事ないもん!」
私はプイッと顔をそらす。
そんな私に、悪魔は嫌らしい顔で笑ったままだ。
「俺は別に莉子がどっちを選ぼうと反省会なんかしてやらねえもんな?だから反省会をしてくれる天使をあえてシカトして俺の誘惑に乗ってるわけ」
「そ、そうなのか?莉子」
「ち、違うってば!」
私は必死になって首をふる。しかし、天使は悲しそうな顔になっていた。
「俺は、莉子の為にいつも必死で説得したのに……そんな不純な理由で俺を無視してたなんて……!!」
「違うの!」
「莉子、俺はしばらくお前の前に姿を見せないようにする。その方がお前のためだ」
「ち、ちょっと!」
私は慌てて天使を引き止めようとしたけど、天使は後ろを向いてしまい、フッとそのまま消えてしまった。
「違うって、違うってばぁ」
私の必死の声はもうすでに届かなくなっていた。
「はは、邪魔者はしばらく出てこねえってよ。じゃあ莉子はうるせぇ奴もいないし、のんびり好きのように過ごそうぜ」
悪魔は私の肩にポンと手を乗せて楽しそうに言ってくる。
「うるさい!もう!悪魔のせいで!」
「俺のせい?はは、バカ言うなよ。お前のせいだろ」
そう言い捨てると、悪魔は笑いながら姿を消した。
ああ、明日から本当に天使は現れなくなってしまうのだろうか。
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