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次の日、私は二度寝を4回してしまい、学校に遅刻した。
目覚まし時計が鳴っても、天使は出てきてくれなかった。二度寝を誘う悪魔だけが優しい声で現れただけだった。
確かに天使を軽く扱ってたみたいで悪かったけどさ、でもこうして本当に出てきてくれないなんて、ちょっと天使も器が小さいんじゃないの。
私は一人ぷりぷりしていた。
そんな中、昼休み終わり頃、事件が起こった。
次の授業は体育なので、私は友達と体育館へ行こうとしていた。その時、ふと違和感に気づいた。
「あれ?美香ちゃん?」
教室の隅の席で、美香ちゃんが下を向いて黙って座っていた。
何だか様子がおかしい。
私は美香ちゃんに近づくと、すぐに何がおかしいのか気づいた。
教室の真ん中で、美香ちゃんがいつも一緒にいる彩奈ちゃんが、別の友達とニヤニヤ笑ってこちらを見ていたのだ。
「あー、またか」
私は思わずため息をついてしまう。
彩奈ちゃんと美香ちゃんは友達なんだけど、時々ケンカするみたいなのだ。そして、そうするときは必ず、彩奈ちゃんは美香ちゃんをクラスの女子達を誘って、美香ちゃんを無視するように仕向けるのだ。
正直見てていい気持ちはしないけど、彩奈ちゃんはクラスでもリーダー格なので逆らうのも面倒なのだ。
また今日もケンカしてるのかぁ。空気悪くなるからやめてほしいんだけどな。
「えーっと……美香ちゃん、一緒に体育館行く?」
私はとりあえず声をかけてみる。
美香ちゃんは驚いたように顔を上げた。その時だった。
「莉子ちゃん!!」
彩奈ちゃんの鋭い声が響いた。
「美香ちゃんなんかほっときなよ。美香ちゃんと話してると気分悪くなるよ」
彩奈ちゃんの言葉に、周りの女子達がニヤニヤしている。美香ちゃんはまた顔を伏せてしまうし、私の友達は気まずい顔をしていた。
これは、……ど、どうしたら?どうするのが正解なの?
私は脳内の天使と悪魔に呼びかけた。
――どうすればいい?美香ちゃんに話しかけつづける?それとも彩奈ちゃんに従って、美香ちゃん無視する?
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